絆〜SIN〜序章〜『絆の行方』





ずっと流されて生きていた。

自分には荷が勝ちすぎる家柄と立場。

何でも思い通りになるはずの事が、それが足枷となって動けない。

母の血に染められたコロニー。

父の嘆きは身内にしか理解できない。

しかし肝心の家族である俺は、言われるままにして、寄り添うふりをしていた。

それが一番楽だと思っていた。

なんと思慮に欠ける振舞い。そして短絡的思考…

でもそんな俺に天は罪と罰を与えた。



初恋のキラを再び俺の目の前に、宿敵となるための再会を用意した。

自分が何をしようとしているのか…



「キラ…どうして此処に…。」



分かっていた筈だった。

自分の 都合の良いものばかりを生かすなんて、そんな夢みたいな話…

戦争でそんな奇跡あり得る訳が無い。

その中互いは無くし…失っていくものばかりだった。

僅かにあった掌の幸福を…

「何でこんな選択しか俺はしてこなかったんだ。」

そう言って悔いる事しか出来ない。

しかも その戦火の中…一人の少年の運命も狂わされた。

もしかしたら自分のこの手で殺していたかもしれない彼…

しかしその少年…シン=アスカはこう言ってくる。

戦いに身を投じる事でしか、自分を守れないと…

自分が巻き込んだ結果をシンにも思い知らされる。

遅かれ早かれどこかで巻き込まれる。

戦争には逃げ場はないのだと…



衝動的に彼を抱いた。

いきなりの事でシンは困惑していた。

しかし自分でもこんなに弱いのかっと思う位に、

追い詰められていたのは自分自身で、

それから目を逸らす為にした暴挙だったのかもしれない。

誰かにはっきりと憎まれたかったのかもしれない。

罰してそれで赦されたかった。

相反する感情に飲み込まれる。

しかしシンは逆に俺の体を抱き締め返してくれた。

覗き込む彼の瞳に映る自分の姿…

信じようともがいてくれてている憂い…

「お前を守れるのは俺だけだ。」

否、俺を支えられるのはお前だけだ。

そんな思いを込めて、激しく身も心も繋がる。

もうけっして切れない絆と 言わんばかりに…



お前が誰を選んでも、俺が唯一無二の存在で有り続ける為に…






アスランからの序章はまだ書いていなかったので、漸く纏めました。
アスランはキラとやり直したい部分と、
同じ位にやり直すべきでないと戒めているのかもしれません。
シンとのセカンドラブの行方はどうなるのか…