『続☆千飛んで一回のプロポ−ズ!』ACT:4<プラン>




テスト勉強の結果は…


アキラの手解きがあって、ヒカルは本当に学年第2位になってしまった。

「1位は塔矢か〜。まぁ仕方ないか。」
「しかし進藤は集中力が半端ないよね。流石僕のハニーだ。」
どうやったら 学年55位を此処まで引き上げられるのか?
それはヒカルの努力と、アキラの願望がなせる奇跡だった。
掲示板を見上げているアキラに、またしても爆弾発言投下!!


「そうだ。塔矢。今回のお礼を含めて今度出掛けない?」


急なヒカルの申し出に、アキラはしばらくフリーズした。
苦節14年…ヒカルをデートに誘えど誘えど断られ続けていた。
その度に自宅の枕を濡らして、何が悪かったのか検討していた。
しかし写真立ての微笑むヒカルを見て、その涙を袖でぬぐって
こんどこそ負けないととハチマキには
【目指せ!!進藤と恋人同士☆】と書いて頭に固く縛って活を入れる。
そしてるるぶを片手に、脳内デートプランを練っていた。
それ位に現実離れしている事を、心の準備もなしに言われたからアキラは
(やばい。これが噂の白昼夢か??)
どうせこの小説の落とし処は承知していると、免疫がついているのか半信半疑だった。
「もちろん二人っきりなんだろうね?」
「塔矢はそのほうがいいの?」
危ない危ない…危うくお邪魔虫が同伴するところだった。
せいぜいアキラの中では、ぎりぎりあかり位ならO・K牧場だが…


(どうしよう…まるっきり二人っきりなんて…無理だよ〜!!
佐為兄さん今もここにいるし…)
ふわふわと浮きながら般若の形相で、アキラをにらんでいる。
守護霊か悪霊か…いやただの幽体離脱なんでどちらでもないが…

さすがにヒカルのおトイレやお風呂や着替えやらは、
良識の範囲で覗いてはいないのだが(笑)




しかし兄はいつまでこの状態なのだろう?
妹の恋路より、自分の事を気にしたらいいのに…
(親戚にそういえば、霊媒体質で自分の人格まで入れ替わる、
遊戯君が居たので今度真剣に相談しよう)


「なにお前たちおもしろい話をしているんだ?」
どこからともなく緒方先生が割り込んできた。
佐為は緒方先生グッジョブ!!っという顔になり、安堵した。
「先生…ついに進藤とデートすることに。やっと春が来ました!!」
そんなアキラに、緒方先生は
「そんなお前だけに有利な展開があると思うか?」
「実は僕も浮かれ半分、疑い半分ですが…」
「それにお前の恋敵達がお前達を見逃してくれるのか?」


緒方先生は面白いことは大歓迎だが、殺生沙汰はごめんだ。
賢いアキラなら分かるはずだ。これが如何に危ない橋か…
「緒方先生。塔矢と何話してんの?」
何気ない一言で危うくアキラの人生を終わらせてしまう事を、ヒカル自身は全く知らない。
目の前の幸せにすがるか、地道に頑張るか…


そんなアキラの葛藤を余所に…
「おい。進藤。これで心置きなくクラブ活動開始だな。」
「緒方先生。なにか演目決まったの?」
「筒井と相談して決めた。タイトルは【Cクレイマン】っていう創作劇だ。」
「へぇ〜面白そうだね。」
そう緒方と盛り上がっているヒカルは横目でアキラを見ながら
(塔矢のバカ。わたしも幼馴染と出掛けるの恥ずかしいのになんで困った顔をしているの?
やっぱり嫌なのかな?)
ちょっぴりがっかりした顔をヒカルはしていた。
いつもアキラの行動は、ヒカルの中では迷惑だったが、今度の事はちゃんとポイントを押さえていた。
だからヒカルはここまで頑張れたのに…


「しかし進藤さんはすごいね。でも…。」
岸本は三谷の名前がどこにあるのか探し、その結果に満足していた。
「何だよ。こっちを見るなよ。」
「君は本気でやれば出来る子なんだな。学年3位だよ。」
基本三谷は手抜きで世の中を渡っていきたい気質だったが、岸本はそれを許さない。
スパルタの如く彼も扱かれて、結果アキラ・ヒカルの後に名前が載っていた。
超むさくるしい地獄のようなテスト期間だったが、進藤ヒカルの左横に名前があるのが嬉しかった。
(こっそり相合傘を書きたい気分だ。そうだ。携帯で放課後写真を撮っておこう。)
三谷は数分前にここであったヒカルとアキラのやり取りを知らない。
かなり気の毒な立場だった。


「伊角先輩。おれ学年10位だった。」
自己記録更新で浮かれ気味の和谷に
「へぇ…そうなのかい。」
「どうしたの伊角先輩??」
「君は察しが悪い。進藤君の順位をみて何も思わないのか?」
誰かが彼女に試験中でも接近した結果、好成績をたたき出した。
そんな真似が出来たのはたったひとり…
「すっごいよな〜。ますます好きになりそう☆」
最早伊角の不機嫌なんてお構いなしに和谷は感動していた。
時に鈍感も心労にならないので、健康上にはいいのかもと、
伊角は呆れ半分、感心半分で和谷を見守っていた。





千載一遇のチャンスは再びくるのか…
アキラだけでなく、他の男達も必死に努力しています。
まさに甘酸っぱい青春(?)です。