『続☆千飛んで一回のプロポ−ズ!』ACT:2<コンタクト>




ヒカルの突然の演劇部入部宣言!!
それは彼女なりの正義感溢れる行動のあらわれだったが…


「伊角先輩…岸本先輩…社君。君達はインターハイをなめているのか?」
アキラはいろいろお節介かもしれないが、学び舎の世間的な評価を気にした。
彼らの活躍は学園の宝…
(いずれ…僕のモノになる進藤のために失ってはならない。)
しかし…


「大丈夫!!掛け持ちするから…。」
伊角は決して剣道部に迷惑かけないからと、ヒカルの右横の席で言った。
「僕はこうみえても器用だから、演劇部でも活躍間違いなし!!」
岸本は眼鏡に手を掛け、自信たっぷりにヒカルの左横の席で言い放った。
「演劇部を存続させなあかんやろう?」
社は正義感でヒカルの歓心を得ようと、ヒカルの後ろの席で息巻いていた。


「駄目だぜ。こうなったこいつらに何を言っても…。」
面白い事があれば、予告無くやって来る加賀が参加した。
扇子片手でさも嬉しそうに…
「塔矢…嫌な予感がしないか?」
和谷が前回のヒカルのおうちの一件を思い出した。
どんどん呼ばれてもいないのに、男共がわらわらと集結した。
「この調子だと、もしかして…。」
ヒカル狙いの新参者がやってくる予感。
『不吉』極まりない。
どこぞの黒猫掃除屋…トレ●ンが運んできたようだ。


そんな遣り取りなんて、無関心のヒカルは
(しかしお兄ちゃん今どこに浮いているんだろう?)
それを気にしていると
【ヒカル…あれじゃないですか?三谷君て…】
急にヒカルの頭上に現れ、何だかハイテンションで話す。
指の先の廊下の窓の向こうに、三谷が居た。
まずは三谷君を説得しなさいと、佐為はめちゃめちゃ促す。
ヒカルはおもむろに立ち上がって
「ちょっと待って。今…廊下に三谷君が通りがかった。」
猛ダッシュで三谷を捕まえたヒカルは…
「どうして演劇部を辞めるの?三谷君って昔…テレビにも出た子役じゃん。」
そんな非凡な三谷を、演劇部は諦めきれない。
姉が出した応募用紙で見事にテレビ出演が決まり、朝の連ドラで一世風靡した。
意外にも兄…佐為が見ていたので、ヒカルは覚えていた。
「あんな俺がガキの頃のテレビ出演。お前良く知っていたな…」
「うん☆るろう●剣心のアニメの次位に好きだったよ。あの頃…」
二人が違う世界で、和気あいあいとしていると
「俺は…別に演劇部が嫌いになったんじゃない。ちゃんと理由はある。」


三谷はバイトを始めたのは、目の前の女の子の為…
毎度毎度アキラに意味不明なプロポーズをされている彼女。
三谷は副部長の筒井から、授業妨害な彼の事を耳にタコが出来る位に聞かされた。
そこでその迷惑なアキラとその相手を見に、違うクラスを覗きに来たら…
(妙〜に納得したんだよな。そしてそれが俺の一目惚れに…。)
明るくはきはきとして、ボーイッシュで、健康美。
単なるブリッコなら、興味すら抱かなかった。
噂だがファンクラブがあるとかないとか…
それは都市伝説か??
早く自立してヒカルを社会的に安定した男として口説く。
その社会貢献の第一歩のバイトだった。
そんなまさか渦中の人物となっているなんて、全く知らないヒカルは…
「もし嫌じゃなかったら話して…。」
お願いポーズで三谷をきらきらと見詰める。
異常に三谷の心拍数が上昇!!
そんな二人の間に割って入ったのは…


「おやおや…顔が真っ赤だよ。三谷君。そうだ。僕が聞こう。
男同士だ。話しやすいだろう?」


アキラが三谷を肩を掴み頷く。
決してこいつにだけは話してはならない。
三谷の本能がそう判断している。
脳内の赤信号が点滅☆☆
その場を立ち去ろうとするが、

「俺も聞いてやるよ。じっくりと…」


和谷が三谷の退路を断つ。
じりじりと追い詰められている三谷。
刻一刻とバイトの時刻も迫る。
何故か向こう側から、恋に狂った4人分の視線も感じる。
このまま全力で振り切るか…
素直に演劇部に戻るべきか…
激しい葛藤を繰り広げていると…


「お前達…なんだか面白そうだが…テスト期間前なんで、後5分で完全下校だぞ。」
緒方先生の助け船が三谷を救った。
すっかり下校の音楽が流れていた。
半泣きだった三谷は、これからは真面目に緒方の授業だけは聞こうと思った。
「進藤…部活も結構だが、勉強も大切だぞ。」
「そうだね。でもテストが終わったら、演劇部に入るから、緒方先生。新しい顧問として宜しく。」
ヒカルはウインクしてそう言った。
演劇部の顧問が身体的理由で長期休暇であり、暇そうな緒方が最近着任した。
緒方本人はちょっといい迷惑だったが、進藤ヒカルが関わると話は違う。
基本面白い事が大好きなのは、加賀といい勝負だった(笑)
それを聞いた男共は…

(絶対に何が何でも入部だ!!緒方先生の顧問の下なんて危なっかしい〜!!)


それには三谷も同感だった(笑)
急いで職員室に行って、5人プラス加賀は入部届を貰いに行った。
急に詰め寄られた、市河先生は唖然としていた。
演劇部の救済のために立ち上がった男共の勇姿。
その光景を見たヒカルはどうしてか素直に喜べなかった(笑)




新しいヒカルの虜の三谷参戦。
しかし緒方先生率いる『演劇部』…
どんなものか…わくわくします(笑)