『続☆千飛んで一回のプロポ−ズ!』ACT:1<クラブ>




古今東西、幼馴染の恋愛感情はなかなか成立しない。


別に国会が決めた法律でもなく、神様が定めた運命でもなく…
ただ相手のことを知りすぎて、最早家族に近い妙な感情に陥る。
他人だったら成長が新鮮に思えることも、朝顔の観察日記のように、 毎日スロ−テンポで伝わるような…
そういう包囲網から考えたら、タッ●の双子の兄と、文武両道な彼女の さわやかカップルは、
ロト6を当てるようなものである。
それくらい障害が付物である。


ヒカルの兄であり、秀才であり霊媒体質である佐為が、
五月五日に交通事故に遭い、幽体離脱し幽霊になった事件があった。
早速頼りになるあかりの家にヒカルは電話した。
「あかり…兄ちゃんが、ほら…漫才師で双子であのネタなんだよ。」
『ヒカル…お願いだから単刀直入で良いからはっきり言って!?』
佐為の身の上の、事故で入院中はちゃんと知っていたが、あかりは全くヒカルの言いたい事がわからない。
言葉が足りないのではなく、きっと余計な言葉が多いのかもしれない。


「兄ちゃんが脱院でなく、幽体離脱したんだよ。」
よっぽど注射か薬か、はたまた入院の食事がお気に召さなかったのかな?っとヒカルはあかりに話す。
それを聞いたあかりは、頭が痛かった。
ヒカルの無責任なあかりが一番の爆弾発言。
あかりとしてもヒカルの気持ちはわかる。しかし…
ここ最近ヒカルをゲットしようとする男共に、ご機嫌取りのように押し掛けられげんなりしていた。
『ごめんね。私の家系は陰陽師もいない。でも…もしかしたら隣町の学校にいる黒●くんなら、
力になってくれるかも?』
死神代行だと意味不明なことをツイッターに書き込んでいたのを見た事が…
しかしヒカルは
「兄ちゃんは優秀だから自力で乗り越えるだろうし…まぁいいか!?」
とどのつまりあかりにただ世間話のように聞かせただけ…
全くあっけらかんとしていた。
哀しい位にマイペース…これが進藤ヒカルの真骨頂。
あかりはドラックストアに今度行った時、胃薬を購入しようと決心した。


【ヒカル…私がみえますか?】
肉体は病院。精神は家で佐為は大忙しだった。
最近…目に入れても(本当はめちゃ痛い…)痛くない、愛くるしい妹ヒカルの周りに、
要らぬコバエ(おとこ)達が大量に飛んでいる。
はえ叩きで何度落としても、魅力的なヒカルは次々とフラグを作る。
将来は芸能界?それとも一級(フラグ)建築士…
しごく無意識だったので、ヒカルは未だ誰ともお付き合いはない。
【いや…私が絶対にさせません。】
そんな折に…


「そうだ。俺…部活入ろう。」
下校時間が近い放課後…
ヒカルが思いつきでまた爆弾到来☆
「進藤…それなら僕も君と同じ部に入る。」
アキラは手を挙げて、まだ何の部活か聞いていないのに同行を立候補した。
「塔矢…抜け駆け禁止だろう!!。」
「和谷君…いい加減に僕と進藤の会話に、ちまちまと絡むの止めろよ。」
アキラはヒカルと同じクラスなのは、いつも初詣でお賽銭を多額放り込んでいる『御利益』だと思っている。
しかし和谷はお祓いをしても、アキラとヒカルの空気を壊す。
アキラにとっては迷惑な存在だった。
「しかし彼女は何のクラブが似合うのだろう?」
既に和谷はふわふわと妄想モードに突入していた。
「ミニスカートが可愛いテニス?ブルマがエッチぽいバレー?身体のラインが堪らない体操部。」
ぽろぽろと希望が駄々漏れの和谷。
かなりスケベ丸出しだった(笑)
「和谷君…僕はふりふりエプロンの料理部か、放課後イベントが起こりやすい美術部か、
クリスマス僕にプレゼントするための手芸部を期待したいものだよ。」
腕組をしながらアキラは、都合のいい事をいけしゃあしゃあと言っていた。
そんな二人の会話にうんざりしながら…
「あのね…なんでそんなもの入んないといけないの?」
6つばかりの願望いや…煩悩が消えた。


「そうだぞ。進藤君には園芸部が似合う。」
岸本先輩が学年跨いでやって来た。
可憐に草花を愛でているヒカルの明るい表情が、どうやら岸本の希望だった。
そんな岸本を追っかけて来た伊角は
「俺は…剣道部が良い。是非マネージャーになって欲しい。」
「慎一郎君。それなら我が弓道部のマネージャーに引き抜く。剣道部なんてむさい事この上ない。」
どうやらヒカルに自分の勇姿を一番の特等席で見て欲しいらしい…。
現在のマネージャーを首にしても、全然痛くも痒くもない。
「合気道はおもろいで。どうや?」
社がいつの間にか混じっている。
それを困った顔でヒカルは…
「しきたりがある、剣道や弓道や合気道はちょっと…。」
自由がモットーのヒカルは苦手なスポーツだった。
3人の野望は脆くも崩れ去った(笑)


「以前から筒井君から、演劇部が廃部寸前だからって頼まれていたの…」
年々減少し過疎化が激しい演劇部。
筒井はそこに在籍して、まるでゴールキーパーのように辛抱強く守っていた。
しかし定員ぎりぎりなのに、バイトだからって部員の三谷が退部届を出してきた。
「そうか…進藤が演劇部。色んな衣装が似合うんだろうな〜☆」
其処に居る男共はお姫様の格好をしたヒカルを妄想中。

「「「それなら是非俺にも協力させてくれ。」」」



三大部活の男共が速やかに名乗り上げた。
非常に動機不純だったが…
『やっぱりか〜?!』っとアキラと和谷は深くため息をして3人を呆れてみていた。




シリアスを書くと何故かこの作品を書きたくなる不思議なもの。
実は途中にすべきか完結にすべきか悩んでいたのですが、勢いで続編を書いちゃいました。
まだまだアキラの受難は続く(笑)