『千飛んで一回のプロポ−ズ!』ACT:13<ギャンブル>




主に進藤ヒカルの身の上に起こっていた怪事件。

それは誰によって行われていた事だったのか?
善良な市民である越智の頭脳ではじき出された人物…


「どうしてこんな真似をしたんですか!!芹澤先生!!」
そこで引っ捕らえられた者は、【囲碁学園】の美術教師芹澤先生。
余り女子の評判は良くないが、男子生徒には違う意味で評価が高い。
人気の高い女子のラミカ−ドの闇販売や、携帯待ち受けを配信している自分に素直な人物。
しかし相手が悪く、進藤ヒカルを狙ってしまったゆえに、その悪運も底を尽きた。


「俺は彼女が天然で有名だから、いつもシャッタ−チャンスを伺っていたんだよ。 文句あるのか?彼女の素敵な写真を多く持っているこの俺に!!」
「それなら負けていないぞ!!ヒカルちゃんの写真のこの豊富さを見よ!!」
洪(ホン)が肌身離さず持ち歩いている鞄。
そこから取り出し白と黒のバインダ−二冊を開けた。
かなり分厚いもので、重くないのか?とアキラは余計な疑問を抱いた。
早速越智家の大理石のテ−ブルに乗せた韓国人。
その自慢話…武勇伝を話した。


「確かに…。どれも自然体でいいなぁ。これなんか思わずうっとりしそうだ。」
そうだろう、そうだろうと高(コ)は腕組みをしながら頷いた。
しかし彼は同行しただけで、大して役には立っていない。
「芹澤先生。でもこれは戴けないないような気がするで。こいつらもそうやけど。」
「俺もそう思う。社君。軽くて抜け駆け。重くてスト−カ扱いだろう。」
「流石岸本副会長。…って伊角先輩大丈夫ですか?何だかしんどそうですが…」
真っ赤になり肩で息をしている伊角の容態が和谷には気掛かりだった。


「ちょっと寒気はするけど、この小説の最終回まで頑張るよ。だから気にしないでくれ。」
「無理はするなよ。」
そしてまた本題に戻っていったが…
「いつから進藤を…」
「そうだな。入学前の説明会から保護者に連れられた彼女。 その時からの力作アルバムだ!!」
芹澤先生の熱意をかって、其処の男共は感嘆を述べた。
「そう言えば芹澤君は写真家でも有名だった。賞を数多く取っている。」
「写真家は被写体を射抜く視線を持っています。だから?」
「岸本多分そうだ。俺にとっての縄張りのボスに眼をくれるようだな。」
「なんや心配して損した。」
「…でも。越智に悟られた理由は?」


和谷の些細な疑問は常に核心をついている。
その場にいたものが気付かない、僅かな隙間を彼は言い当てる。
数時間共にして誰もが悟った事柄。
「和谷くん。君は探偵が夢か?」
「突然何言い出すんだよ!!搭矢。俺は可愛い奥さん(=進藤)とそうだな(省略)が夢だ。」
やっと巡った告白のチャンス。
それを逃がすまいと和谷はヒカルをちらちらと見つめながら語る。
しかし不気味な事件と和谷の熱弁。
天秤にかけたらどちらが大切なのか、一目同然だった。


「彼の事が浮かんだのは、可愛い女生徒のありとあらゆるものを、 競売にかけている集団の幹部で、
奈瀬や藤崎も標的にされているよ。 でもそれは黙認出来ても、相手が進藤ヒカルなら話は別だ。」


越智家の全財産にかけても燻りだし見つけてやろうと思った。
その実家にとっては傍迷惑な考えを越智は平気で思っていた。
そうとは知らず冷めたお茶をかえる為、温かいお茶を持ってくる家政婦。
彼女の雇用期間はこの坊ちゃんのわがままに掛かっている。

「でもこれにて一件落着だな。しかし長い一日だな。」
岸本がしみじみと勝手に完結させようとした。
周囲も相槌を打ち、まるで楽屋に戻るアイドルのように荷物を纏め始めた。
しかしそれにアキラは


「それはくだらない事件がです。この小説のタイトルとは別物です!!」


アキラはよく考えたら、これはアキヒカ子の話であることに我に返った。
だが結果はヒカルには、これだけの男達が恋人に立候補したがっていることが 分っただけで、
収穫はあったものの、肝心なヒカルの思いを手に入れていない。
無駄に話数が過ぎただけ…


加賀はため息と共に…
「某なんたら10%の優柔不断キャラも、最後には相手を選んだだったよな。」
「超伊角先輩に似た声だけど、性格100%違う例の…」
「ぜんぜん俺と似ていないですよ!!声!!」
「あんまり傍によるな。風邪がうつる。美しい俺に鼻水など似合わないだろう。」
「高(コ)くん…自意識過剰は日本人の顰蹙を買うから止めたほうがいい。」
ようやく現場復帰した佐為が、そう助言する。
かなり突然のオ−バ−ソウ●で、巫力の消費が激しいのか、肩で息をしていた。
まだ桑原の生霊はこの部屋にいるらしいのだが…


バカ…なんだよ。搭矢は…
ヒカルは自分に必死になるアキラをみて、正直な感想を心に述べた。
なぜ遠回しの表現に気が付かない鈍感なんだ。
今の搭矢でなく、もっと堂々としたお前が好きなのに…
だから何時まで経っても、応えてやらない。
この乙女心をお前が理解するその日まで…


「私は…あかりが大切!!なにか文句ある!!」
ヒカルより逞しいあかりに、それまでの防波堤になって貰う事に決めた。
それが彼女に大いなる受難を呼び起こすとも知らずに…




アキラの受難はまだ序章?
なかなか筆が進まず、長く待たせました。