『千飛んで一回のプロポ−ズ!』ACT:2<ドリ−ム>




この世には様々な名物スポットがある。
娯楽・観光・芸術・・あげればキリが無い程にそれらが幅をきかせている。
しかしそれのどれにも属さない一風変わった場所もある。
それが【私立囲碁学園】と呼ばれる規模が大きい学び舎である。

世間様の常識を掻い潜り、尚且つ自身のル−ルの下存在している学生。
それらが何事も無く邁進出来る様に手助けする教員。
利害一致でバランス良くお互いを認め合いながら日常を過ごしている。
だがその中でも危険地帯と認定されたクラスがあった。
中等部3年チュ−リップ組の一派である。
必ず一日に数回問題を起こし、生徒指導室を満席にしている。
最初は辛抱強く更正にあたっていた先生方も今はなりを潜めている。
唯でさえ授業で神経を磨り減らせているのに、こんな性も無い所でカロリ−を消費したくないと考えての行動だった。
だから無法地帯になり、例の如くまた問題を・・
「えっ・・と今回の議題は進藤ヒカルのラブレ−タ−を誰が盗み、仮定ではあるが捨てたかを論じていきたいとおもいます。」
そう言って学級委員の筒井が説明する。
黒板にでかでかと同じ事が書いてあり、無残にも緒方先生の達筆は黒板消しの犠牲となった。
でも椅子に腰掛け気にしない素振りをしながらそれを認めていた。
教台の上にある数学のセットが虚しく避けられていたのが、生徒の学力低下を痛切にしていた。
「まずは心当たりが有る人はいませんか?」
副学級委員の藤崎あかりがいやいや全員に問い掛ける。
そう言うなり一人の男子生徒が挙手する。
「そう言えば・・不審な2人組が彼女の下駄箱にうろついていた様な・・」
「お前そいつらを何故尾行しなかった。」
「だってお前だったら出来るのか?貴方達が怪しいので追っていますって。これじゃ俺の方が怪しい奴だろう。」
「たっ確かに・・で外見的特徴は・・」
「兎に角この学校でも奇抜に属される感じだった。」
そして第一の容疑者が浮かんだ。
私服・制服どちらでも可な学校ゆえ、ファッションを磨く事も出来る。
最初はPTAの反対にあったが冷え性に苦しめられる女子と、男子が休み時間に外で遊ぶには向かない制服は余りにも機能的ではないと 言う意見が出てそうなった。
しかし当初の掲げた理想は脆くも崩れ、放し飼いの問題児の巣窟には【火に油】だった。
その彼等が怪しむ人物はよっぽどの事だった。

「私も彼女に付き纏う変わり者を知っています。」
今度は女生徒から証言が得られた。
「推定3人の者で二人はこのクラスで、もう一人は別ですが・・」
「見え見えだもんね。私が進藤さんだったらノイロ−ゼになりそう。」
「でも分かる気はする。私が男だったら絶対頑張っちゃうもの。」
議題からそれてドサクサに彼女に変化球的告白をしている。
断然ヒカルより可愛い女の子が何を血迷っているのか理解不能だった。
そして黒板に2つの発言をあかりは書いた。
かなり乱暴な字だったのが、彼女が数少ない常識人と語っていた。
「どうしてこんな事が重要なんだ?どうでもいいじゃん。」
ヒカルの口から爆弾発言が!!
それは男子にダメ−ジを女子に感嘆された。
現状の空気が読めないヒカルに青筋をたてた隣人がいた。
そう・・沈黙を守っていたアキラが猛反撃した。
「君はどうしてそうなんだ。いくら恋愛音痴が売りだからってちょっと酷いと思うよ。」
「恋愛音痴!むか〜!!何だって手渡しじゃないんだ。切手代を浮かしているんだったらそれ位当然じゃん。」
「だから音痴だって言うんだ。恋すると息も出来ないくらい翻弄されるんだ。これ以上無い位に・・」
息巻くアキラの言葉にヒカルは揚げ足をとった。
「だったらお前の恋は本気じゃない。だってちゃんと息してるもん。」
その一言は関西人なら洒落で、関東人には冗談ではないものだった。
アキラはヒカルがますます分からなくなった。
竹馬の友から始まったにも関わらず、未だに雲を掴むような感覚だった。
「息をしているのは君と結婚する為だ!僕はそれだけが楽しみで存在している。」
「わぁ〜!!臭いセリフ。夢って絶対叶わない願望だってお前知っている?」
「叶うさ。僕はこう見えて将来安泰を約束されている。甲斐性はMAXで子供はそうだな・・5人で幸せに君と寄り添う。」
拳を握り締め自分の世界に入り力説する。
「5人ってお前戦●ヒ−ロ−でも組むのかよ。先生こいつ白昼夢に魘されている様だから、保健室に連れてって下さい。」
どうしてもアキラを厄介払いしているヒカル。
その当事者をほったらかしで学級会は進んで、黒板は一杯になっていた。
中には学校に関係ない者の名まであった。
それを尻目にヒカルは保健委員の和谷の席にいった。
急な思い人の接近で和谷は椅子から転げ落ちた。
ついでにパ−ソンズの筆箱もお供に落下した。
動揺しまくりの真っ赤な和谷にお構いなく近付くヒカルは
「塔矢を保健室に一緒に連れて行ってくれ・・和谷くん。」
覗き込み和谷の手を掴むが・・
(だっ駄目だ。はっ鼻血が出そう・・誰か助けろ!!)
本気でピンチをむかえた和谷は必死で血止めの急所を探る。
確か小宇宙(コ●モ)を高めれば出来そうだと頭まで昇天させる。

何よりも一体誰が犯人なのか・・?

誰もが主旨から外れ始める。






ますますアキラが壊れています。いやヒカルも同類です。
今回緒方先生の出番が少ないのが心残りでなりません。
次回は活躍の場を与えてあげたい気分です。
それより次で解決するのかが問題ですので・・頑張ります(汗)