仕舞われた一冊の本。
それは冒険の物語とは少しほど遠い話だった。
それをアキラと読んでいたヒカル。
「剛親父が買って来た本なんだ。ちょっと変だろう?」
5月のこどもの日、普通なら詰碁集でも買ってくれるだろうと期待したヒカル。
しかしどう間違えたのか、おばちゃん根性で下のほうからそれをとっていたら違う本が混じっていた。
それが目の前の本。
「ラッピングの時点で気付けよな。親父も・・俺と同じで肝心な事が抜けているぜ。」
そして溜息をついたヒカルの肩をアキラは抱き寄せ、ペ−ジを捲る。
「でも・・アキラ王子はヒカル三蔵と目出度くゴ−ルインしたんだね。羨ましいな。」
内容はどうであれ、束縛も無い自由奔放な恋愛模様はアキラの理想だった。
自分達の関係は親に歓迎されていない。
寧ろ別れる事を期待されている。
「ねえ・・ヒカル。僕達は何時になったら・・」
「マイナス思考はいけないって。何時かこの作品のような結婚をしような。」
真っ赤になりながら、アキラを見詰めるヒカル。
そしてどちらからとも言えないキスを交わす。
本のようなことは現実は起こらないけど、でもそれ以上に彼らに負けないくらいに愛し合ってる。
神の一手より困難な道だけど、二人でなら怖くない。
ずっと傍に居て共に歳を重ねて、いつか同じ屋根の下の縁側で囲碁を 打ち鳴らそう。
明るい陽だまりのもとで…
彼らもまた未来に希望を乗せて駆けてゆく。
リレー小説の第一回目です。
W&Bの緋色さまとの企画の最中、私の日記で書いた短編から緋色さまがネタを拾われ、
それがリレーへと繋がり、私としてはびっくりしていたような…と記憶しています。
原版にはその時お互いが感じたやりとりのコメントがありました。
私はどうやらギャクでおさめようとしていたのですが、路線がありゃりゃと可笑しな方向に(笑)
それを互いに楽しみながらやっていたので、良い思い出でした(照)
最後辺りには互いの作品の者をゲスト出演させての大円満。
光輝と明人はこちらの作品『泡沫』シリーズから…
この番外短編のお話のヒカルとアキラはW&Bさまの作品の二人です。
私一人ではこの作品は書けなかったです。
改めて読み返すと自分で書いた部分に手を加えたくなって、これは当時の内容とは若干違います。
読み比べていただけるのなら、W&Bさまを検索して向かって下さい。
緋色さま宅には原版そのものがUPされております。
またどこかで機会があればやってみたいですね。