『碁遊記』

第十四話〜天竺からの贈り物?〜








「これはひょっとして僕たちの愛の結晶が出来たととっていいのか。」

「馬鹿やろう。そんあわけあるか!」

だが、Dr.加賀の言葉などアキラはものともしない。

黒の組織・・・ なんってすごい薬を発明するんだ。

「男どおしなんて そんな事はこの世界では全くノープロブレムだよ。」

進藤 ヒカルJrは見た限りまだかなりちいさい。小学生にも満たないだろう。

という事は、今度は僕がこの薬を飲んでヒカルと●●すれば僕のおちびちゃんが出来るという事だろうか。

二人が戯れるのも見るのもまたかわいいだろうとアキラは胸躍らせる



いや、ちびでも 自分と同じ容姿のものにヒカルを取られるのは癪にさわる。

やっぱり僕だけで二人を楽しむ方がよいだろうか。

とうとう僕にもこんな日が来たのだ。

いろいろ今後の夫婦生活?に思いを馳せるアキラ。

アキラの顔は知らず知らず綻んでいた。



「おい気持ち悪いやつだな。 塔矢お前変な事考えてるだろう。

俺はもう2度とこんな手術まっぴらこうむりたいし絶対しないからな。」

すっかり自分だけの世界に浸っていたアキラは早速邪魔な加賀を追い出すことにした。

「ああ いや加賀今日は本当にご苦労だった。疲れただろう。別の部屋で休んでいいよ。後は僕が引き受けたから。」

まさに出産をはじめて迎えた父親のような気分でアキラは眠るヒカルの手を取った。

「でかしたぞ!ヒカル。これで僕と君とは既成事実だけでなく本物の夫婦だ。指輪を買いにいかないとね。」

そうして優しくヒカルにキスするとまるでお姫様が目覚めるようにヒカルはゆっくりと目覚めた。

「あっ アキラ・・」

「ヒカル 大丈夫かい。びっくりしないで聞いて欲しいんだ。突然だけど 僕たちに子供が出来たんだ。」



「ええええ〜!」





あまりの驚きにヒカルはしどろもどろで恥ずかしそうに目線を彷徨わせた。

「だって俺男だぜ・・・」

そういいながらもヒカルは何だか気になるのかお腹をさすっている。

アキラはそれがどうしようもなくかわいくてくすりと笑みを浮かべた。

「違うんだ。ヒカル隣のベットを見てごらん。もう生まれてる。」

ヒカルが隣のベットに目を移すと息を呑んだ。

「俺の子っていうか俺自身じゃん。」

「ああ とっても かわいいだろう。」

「でも俺・・・」

「心配する事はないよ。君の子は僕の子だ。(たとえ僕と血が繋がってなくても)僕たちの愛でうまれたんだ。

間違いないよ。僕が父親だ。今すぐ結婚しよう。ヒカル・・・」

「アキラ・・・」

アキラは壊れ物に触れるようにヒカルの唇に優しくそれを落とした。

重なった唇は少しづつお互いを確かめあうように深くなりやがて貪るように舌を絡ませた。

二人が愛を確かめ合っている間にチビヒカルが目を覚ます。





「あれ?ここどこ!」

アキラは幸せをかみ締めながらようやくヒカルを開放した。

「目覚めたいかい。ヒカ・・・」

ル・・といいかけてアキラは口をつぐんだ。

「同じ名前じゃまずいよな〜」

ヒカルがチビヒカルに声をかける。

「お前名前は?なんか希望ある?」

「俺 俺の名は光輝!(こうき)がいい!」

「良い名だね。光輝おいで」

アキラがやさしく光輝を抱きあげた。

ここに三人の家族が誕生したのである。





その頃 ヘリで脱走した3人組はとある町へと不時着していた。



「ここどこだろう?」

途方にくれる伊角。

「伊角さん 全然俺たちの言う所と違う場所ばかり行くんだもん。」

「つうかこの町 かなりまずいんちちゃうか。」

人気のない気配に三人はこの街がただの町でないと感づく。

そこへ先に来て待ち受けていた精次が三人を迎えに来たのだ。

「げえ。なんでアキラの兄ちゃんがおんねん。」

「残念だが 予定変更だ。お前らと楽しんでいる場合じゃなくなった。」

そういうと精次は三人に一枚の封筒を手渡した。

「なに なに〜このたび塔矢 アキラと進藤ヒカルは結婚する事になりました。

ついては急ではございますが本日7時までに軽井沢の別荘へお越しください 」



「な なんやて・・・」

「あいつら結婚って!どういうことやねん。」

「まあ〜行けばかわる。お前らとの事は一時休戦だ。」



その頃とおい天竺でも佐為が出かける準備をしていた。



「全く私のでる幕ありませんでしたね。あの子も迎えに行かなければ。ヒカル・・・待っていたのに。

いや私はまだ待ちますよ。ヒカルがアキラがそして光輝くんが成し遂げてくれるかもしれません・・・

天竺へ世界中が幸せに囲碁を楽しめる世の中を・・・」