天竺で痺れを切らしていた佐為の水鏡が映した映像は、彼なりにダメ−ジが大きく使者を送った。
可愛い子には旅をさせるといいでしょうって誰が言いだしっぺですか?
「私が夜鍋して作り上げた【ヒカル三蔵のお口の恋人:佐為騎士】が、にわとりの声より早く完成した。」
裁縫なのか?はたまた科学力なのか?オ−ソドックスに式神なのか?
佐為の瓜二つの人型が出来た。
(私ってば天才です。ふふっ…。自分の才能が恐ろしい…。)
にやにや笑っていると、お茶を運んできた侍女のあかりが変なものを見るような視線を佐為に送っていた。
しかしその傑作を普通なら敵陣の真っ只中の、3人の所に送りつけても良い筈なのだが・・
「寄り道せず、拾い食いもせず、知らない人にもついて行かず、真っ直ぐにヒカル三蔵の元へ行くんですよ。」
言い聞かすようにヒカル三蔵の警護(?)を命令する。
自分に正直な佐為であった。
「アキラ王子・・お早う!」
すっかり朝日が昇り、気持ち良い風が心地良い時間となった。
しかしアキラ王子は大変寝苦しかった。
頬にヒカル三蔵の歯型がくっきり・・。魔族囲碁界の王子(プリンス)として情け無い。
でも愛するハニ−からのスキンシップ?だったので、譲歩した。
そんな何時まで経っても起きないアキラ王子に・・
(しゃ-ね-な。起こしてやるか?)
そして意外に基本的朝が弱い妖怪の3人を常に起こす方法を・・
『ちゅぅ〜ん。ちゅっ!!』
頬にキスをしてアキラ王子をゆすって殴って起こそうとした。
そのアメリカンの挨拶じみたヒカル三蔵に・・
(フ・・フライングだ〜!!は・・鼻血が出てしまうじゃないか・・)
起き上がって超高級鼻セレブで、鼻の滝を抑える。
本人はあくまで…
アキラ王子×ヒカル三蔵希望!
逆は死んでも嫌だった。
彼もまた欲望に正直だった。
「社悟浄・・良かったよ。君は・・」
二人裸同志で緒方は満足そうに、最近値上がりが激しいタバコを吹かせて、 そして社悟浄の唇におはようの接吻する。
(たったばこの味が〜!!もういやや・・お家に帰りたい・・お袋・・)
しっかり就職して、お金をバリバリ稼いで、いつしか可愛い嫁さんをゲット!!
そして一戸建てをローンでたてて、こどもは3人…これそう言えば文集に書いていたっけ…?。
しかしヒカル三蔵クラブの会員になってからろくな事が無い。
そろそろ脱退しようか考え始めた。
彼も自分に正直になっていた。
「伊角八戒・・おはよう・・」
幸せそうに寄り添い眠っていた二人。
「ああ・・おはよう・・和谷悟空・・よく眠れたかい。」
そして微笑みを交わし、抱き締めあったが・・
「でもあの緒方スケベ魔人。どうして俺達を見逃したんだろう?」
「彼にもきっと妾が居るんじゃないか?でも僕達には関係ないと思うよ。」
思いっきり自身の関係者を疎外していた。
きっと他人事っと社悟浄の身に起こった不幸はスルー。
しかし彼等には罪は無い。
「あのう・・此処何所ですか?」
「此処は広島じゃけん。お前さん迷子か?」
方向音痴な人型は、初めてのお使いで困っていた。
そんな【佐為騎士】にきゅんっとした気のいいおちゃんは、広島名物…広島焼きを御馳走した。
はぐはぐほくほくと嬉しそうに頬張る。
すでに言いつけの半分以上守れていない(笑)
彼が軽井沢に着くのは何時の事か?