『碁遊記』

第七話〜人間万事!塞翁が馬?〜








軽井沢の山奥では、のどかな自然しか見どころはないと、アキラ王子は急遽部下に本屋に行かせた。



北は北海道…南は沖縄…マップとデートガイドブックを見ながら、ときめきを感じながら…



日本の名産地に回り、せっかくの名所も流石に持久力に乏しいヒカル三蔵は構わずお約束に文句を言う。

「疲れた〜!もう歩けない〜? アキラ王子負ぶって〜」

女子高生真っ青の甘える声が、ヒカル三蔵から発射された。

そんな彼を下心たっぷりのアキラ王子は、死んでもいいような天国の気分になった。

(ヒカル三蔵がついに・・僕を認めてくれた。これは正に神からの御加護!!)

魔王の息子が何を血迷っているのか、神仏に感謝していた。



そして背中を突き出し、ヒカル三蔵を背中にすると・・

(重い・・!!この重量感。ヒカル三蔵は何kgの衣装を着ているんだ・・)

堪えられない重さを補う為、魔力を放ち軽井沢の別荘まで運んだ。

今更ながらわざわざ文明の力を借りずとも、彼の魔力で移動していけばよかったのでは?って突っ込みは野暮である。



「本当に美味しかった。・・って何だか眠くなった。」

急に眠りこけてしまったヒカル三蔵。

相当疲労が溜まっているんだと、アキラ王子はダブルベッドに今度は姫抱きで運ぶ。

静かに眠るヒカル三蔵は、枕を抱えるようにしていた。

(そうだ!!デジカメ。デジカメはどこだ?)

しかしよく食べ、よく寝る気持ちいいくらいマイペースなヒカル三蔵だ。

そんな姿をもっと萌えの部分で感じたいが故、市河お世話係にヒカル三蔵の着替えを命令した。



そして数分後・・



すっかりネグリジェに身を包み、寝息をたてるヒカル三蔵の図が完成した。

ナイトキャップもおまけにかぶせちゃえ〜☆

そしてそろりと隣に入り、間近で彼を見詰めると・・

「可愛い〜!どうしてこんなにも君は僕を虜にするんだ。」

首筋からのラインがアキラ王子を興奮させる。

産毛が超〜いいかんじにあるうなじ。

まるでイケナイ事をしている気分だが、アキラ王子はそこにキスをした。

白い肌に微かに赤い痕が残った。

それをもっと残したくて、見えている部分に起こさないようにキスの雨を降らす。

柔らかい部分を堪能したアキラ王子は・・

「君も僕にキスをしてくれたらな〜。」

と思った時、ヒカル三蔵がアキラ王子の頬を齧った。

さも美味しそうに噛み付いて、放さない。まるで鍋にすると絶品のすっぽん。

「ヒカル三蔵〜!!僕は噛んでくれとは頼んでいないよ〜!!」



半泣き状態でアキラ王子はその夜を過ごした。





その一方・・



「ぎゃ〜ああ!!なんやねんおっさん!!」



社悟浄の叫び声が軽井沢の別荘別宅に響いた。

個室で旅の疲れと、ヒカル三蔵の貞操の心配をしていた彼はようやく心地いい眠りに入っていた。

しかし性欲がもりもりの緒方王子(魔王?)の乱入により、不愉快な眠りに様変わりしていた。

セクハラよりも濃厚なそれは、妖力を奪う。いや処女まで奪う。



「君は俺の中になかったタイプだ。だから摘み食いしに来た。」

少々鼻息荒く接近する事を止めない。

ベッドの上で繰り広げられる攻防戦。まさか自分の貞操にピンチが迫る!!

危うし哀れな子羊・・社悟浄!!

しかし君の尊い犠牲で隣の部屋での2人の安眠は守られた。

仲良く和谷悟空と伊角八戒は寄り添うようにダブルベッド。





かなり不本意だが・・ご愁傷さまである(笑)