『碁遊記』

第四話〜据え膳食わねば男の恥かも!?〜








ようやく腹一杯になったヒカルをアキラが下心を持ってねぎらう。

「お腹一杯になったら眠くなっただろう。風呂にする、それともベットがいい。

君の仲間たちは僕の城へ向かったがこの近くのホテルをとってもいいんだよ。」



アキラの下心などヒカルにはとうにお見通しだ。

「俺だけホテルなんてやだよ。俺もあいつらと一緒で城でいい。」

アキラにとっては同じ事。

自分のアジトに戻るもホテルを取るのもヒカルを懐に入れるにのはたやすいことなのだ。



「わかった。ヘリを用意しよう。」



大型ヘリの後部座席はふわふわの起毛で、ヒカルは疲れた体をそのソファーに埋めた。

しばらくすると満腹とここ数日の疲れからソファの中でうとうとと眠りに誘われた。

こくり こくりと隣で眠るヒカルがアキラの肩に体を預けてくる。

アキラはヒカルの肩にそっと腕を回した。



触れる金色の前髪がやわらかく まだあどけなさが残る横顔は天使のようだと思う。

いつもこんな風に素直に身を預けてくれれば良いのに。

本当はヒカルもいつも憎まれ口を叩くほど僕のことを嫌ってはいないのだろう。

出なければ下心がある僕の前でこんなに無防備な姿はさらさない。



ほんの近くにある唇にアキラは指を伸ばす。

その指でヒカルの唇をなぞった。

ぷっくらとやわらかい感触にキスをしたいという欲望に駆られる。

だが、眠っているヒカルの唇を奪った所で満たされはしない事はわかっている。



ならせめて一時はこのままで

・・・だがアキラがそう決心したのもつかの間。



「アキラ ・・・すき・・」



突然ヒカルの寝言にアキラの心臓はこれ以上ないほど跳ね上がった。

うそだろう。まさか・・・

いやよ。いやよも好きのうちと言う事だろうか?

それともヒカルの深層心理は僕を求めているとでもいうのだろうか。



愛するヒカルに「好きだと」言われてそれでもキスをためらうアキラではなかった。

ばくばくと音をたてる心臓を押さえながらアキラは少し開いたヒカルの唇にそれを押し当てた。

やわらかく甘い吐息を交換してアキラは唇を離した。

「僕もヒカルが好きだよ。アイシテル。」

アキラはヒカルの耳元にそっとつぶやく。



「う〜ん。アキラ俺もう食べれない。 タラバガニもステーキも好き・だ・・・ごにょ むにょむによ・・・」



ようやくシリアスでいいムードになると思ったのに・・・・

「君は僕とタラバガニを一緒にするのか!!」





アキラの大音声がヘリの中でこだましたのだった。

そのころ牛魔王のお城では・・



精進料理(湯豆腐と湯葉)と、有り難くないたけのこ料理だけが今晩のディナーだった

(ごくう)和谷(はっかい)伊角(さごじょう)社がアキラとヒカルの帰りを今か今かと待ち受けていた。



「あいつら帰ってきたら絶対ゆるさねえ〜!!」