『碁遊記』

第二話〜妙な綱引き合戦?〜








「いいだろう。今日は君たちを僕の城へ招待し 夕食をご馳走しよう。旅の疲れもあるだろうし晩は泊まっていけばいい。それでいいな。」

アキラとてそれ程鈍感ではない。ヒカルの考えぐらいお見通しだ。

食事とベット代はその身で払ってもらおうとひそかに目論む。

「いいのか?」

「もちろんだ。」

「だけどさ〜俺もう一歩もうごけねえ。」

これは和谷のたくらみ。

そういえばアキラが何とかしてくれるんじゃないかと踏んだのだ。



ヒカルの余計な荷物(和谷)にチラッと目を移したアキラは本当は和谷以下二人を捨て置いて行きたかったが、 ヒカルの機嫌を損ねてしまうかもしれないと思うと考え直した。

「だらしないね。君たちは妖怪なんだろう。それとも碁ばかり打って体力をなくしたのか。しかたがないな。自家用ヘリを手配しよう。」

ヘリを手配と聞いて伊角と社が顔を見合わせた。

もう歩かなくていいのだと思うと途端に4人の精気がよみがえった。

そんな4人の様子をなにげに観察しながら、アキラは背広?の内ポケットから携帯電話を取り出した。



「・・・ああ僕だ ヘリを2機頼む。場所は・・・発信機の場所を目印に来てくれ・・・」

「発信機をいつも持ち歩いてるのか。」

「ほんま 金持ちのすることはわからへんな。」



伊角と社の会話にアキラは心中であざ笑う。

発信機は自分が持ち歩いているわけではない。

ヒカルにつけているのだ。

でなければこの広大な大地をのこのこ偶然を装って颯爽と登場する事など無理ではないか。

すぐ様アキラが待機させていたヘリが大きな音をたてて舞い降りてきた。



「さあ、ヒカル おいで。」

アキラは1台のヘリにヒカルだけを誘った。

「待てよ。和谷と伊角と社は?」

「もう1台ヘリはある。そっちに乗ればいいだろう。」

「でもこっちは俺とアキラとで 向こうは三人に馬まで乗るなんて変だろ?」

それに和谷が参戦する。



「そうだ!!大体お前ヒカルに何かたくらんでねえ。」

さすがにヒカルの第一妖怪?である。察しはいい。

だが、今のアキラにはこの三人を操る要素はいくらでもあった。

「和谷くん。あついのだろう。伊角くん社くん 喉が渇いたんじゃないのか? ヘリの中はクーラー完備で 飲み物はいくらでもある。好きなだけくつろぐといい。」

アキラの言葉に馬までが そそくさと ヘリへと走り出す。

「おいちょっと待てよ。」

一人取り残されたヒカルは慌てる。



「さあ 進藤 ヒカル 僕と一緒にヘリに乗るんだ。」

僕の恋心を逆手に取ろうとした罪 その身にかえて償ってもらうよ。

「ちぇっ」

・・・あいつらおれだけ置いていきやがって。

小さくしたうちしたヒカル。

だがヒカルだってもうへとへとなのだ。

自分の貞操?に危機感を募らせながらも飢えと喉の渇きにはもうとても絶えられそうになかった。



「わかった 乗るよ。」

ヒカルはアキラに伴われてかくしてヘリに乗り込んだ。

さて ヒカルは貞操を守れるのか??